研究レポート

2022.08.09

30億年前から水中で生き続ける藻類の生活術

 

私たち人間は必要な栄養素を食べ物から取り入れています。
一方、植物は太陽からの光 エネルギーを使い、二酸化炭素と水から栄養素をつくり出しています。植物が生きるため に必要な一連の生命活動を「光合成」と言います。この光合成には、植物のどんな要素が 関わっているのでしょうか。

 

自らつくり出す青色色素「フィコシアニン」で力強く生きる藻類たち

植物の光合成には、光エネルギーを吸収する色素が密接に関わっています。植物内の色素が、地球上に降り注ぐ太陽の光を受け取り、適切に細胞内に吸収することで、植物の栄養となる有機物を生産しているのです。光合成は植物の生命活動に共通するものですが、水中に生息するワカメやスピルリナをはじめとする藻類では、水の存在によって光の吸収効率が陸上にいる植物よりも劣ります。陸上の植物は、人の目でも感知できる青い光と赤い光を好んで吸収する緑色の色素クロロフィルを自らつくり出し て、効率のよい光合成を行っています。一方、水中では、水質の状態などによって青い光と赤い光の波長は陸上より届きにくくなります。そのため、水中に住む藻類では、緑色や黄色などの他の光エネルギーも栄養素に変換できるよう、種々の色素を自ら生み出していることが分かってきました。例えば、シアノバクテリアと呼ばれる藻類では、クロロフィルに加えて「フィコシアニン」という真っ青な色素を自らつくり出し、赤い光をより効率的に吸収して、栄養素に変換しようと努めています。

青色色素「フィコシアニン」

ちなみに陸上の植物は約4億年前に進化の過程で生まれましたが、藻類を含む水中の植物はなんと30億年前に生まれたと言われています。30億年前の当時の地球は高温の過酷な環境であったため、フィコシアニンそのものも熱耐性などの特異な性質を持ち合わせています。近年では、さまざまな環境に強いと言われているフィコシアニンが、人間にとっても有用な作用を示すことが分かってきました。

 

さて、フィコシアニンは私たちにどのような素晴らしい効果をもたらしてくれるのでしょう?

 

フィコラボでは、フィコシアニンの摂取で肌のバリア機能の向上が見られた研究事例を紹介しています。

引用元:リバネス出版 (2022),30億年前から水中で生き続ける藻類の生活術, someone 59, 23.
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